中途半端な密室 (光文社文庫 ひ 12-6)

著者 :
  • 光文社 (2012年2月14日発売)
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東川篤哉の短篇ミステリ作品集『中途半端な密室』を読みました。
『学ばない探偵たちの学園』に続き、東川篤哉の作品です。

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テニスコートで、ナイフで刺された男の死体が発見された。
コートには内側から鍵が掛かり、周囲には高さ四メートルの金網が。
犯人が内側から鍵をかけ、わざわざ金網をよじのぼって逃げた!? 
そんなバカな(^_^; 不可解な事件の真相を、名探偵・十川一人が鮮やかに解明する。(表題作)
謎解きの楽しさとゆる~いユーモアがたっぷり詰め込まれた、デビュー作を含む初期傑作五編。
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2012年(平成24年)に刊行された、デビュー作を含む初期の短篇集5篇を収録した作品… 本格推理小説の公募アンソロジー『新・本格推理〈02〉黄色い部屋の殺人者』に収録されていた『十年の密室・十分の消失』だけは再読です。

 ■中途半端な密室
 ■南の島の殺人
 ■竹と死体と
 ■十年の密室・十分の消失
 ■有馬記念の冒険
 ■解説 光原百合

イチバン面白かったのは『南の島の殺人』かな、、、

南の島でバカンスを過ごす友人からの手紙に書かれていた殺人事件の謎… 向かいがK島というS島が舞台なのですが、実在するS島が、どの島かとわかった瞬間に、頭に描いていた風景ががらりと変わってしまう、どんでん返しが愉しめました、

それ以外にも、

金網で囲まれたテニスコートでの殺人という中途半端な密室状態を扱った『中途半端な密室』、

地上17メートルの首吊り死体の謎に挑戦する『竹と死体と』、

雪の降る山中で山小屋が幻のように消えていくという建物消失の大掛かりなトリックが印象的な『十年の密室・十分の消失』、

有馬記念のスタートと同時に起こった強盗事件のアリバイを解く『有馬記念の冒険』、

と、どの作品も面白かったなー 初期の頃からユーモアたっぷりの本格ミステリを生み出していたことを知ることができる一冊でした。

相変わらずテンポが良く、ユーモアと本格のバランスが絶妙ですね… 安楽椅子探偵モノという共通性はあるものの、扱う事件は密室トリックあり、建物消失あり、アリバイものあり とバラエティに富んだ作品集で飽きずに読めましたね、、、

次も東川篤哉の作品を読もうと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>ミステリ(国内)
感想投稿日 : 2023年6月22日
読了日 : 2023年6月22日
本棚登録日 : 2023年6月17日

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