フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学

  • エトセトラブックス (2020年8月12日発売)
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感想 : 27
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 書店の棚に何冊か置かれていたので、ふと手に取った。トランスビューが取引代行となっているから、あまり目に触れる機会もないだろし、初めて知る出版社だったから。そして、フェミニズムの本を読むのも久し振りだった。

 「はじめに」で、この本を書いた著者の思いが端的に表されている。ーフェミニズムとは何で、それはどんな運動かがわかる‥ズバリと核心に迫り明快でー読みやすいけれど、けっして短絡的というのではないような本。そして、誤解や曲解にさらされているフェミニズムが、「性にもとづく差別や搾取や抑圧をなくす運動」なんだということを、多くの人に届けたいということ。

 著者が本書を書いたのは、今から20年前の2000年。フェミニズムが一定の市民権を得て、アカデミズムで講座ができたり、男性と同待遇のビジネスエリートのポストを掴む女性も登場していたが、しかし同時にそれは、女性の分断を招いた。

 著者は、白人至上主義的で資本主義的で家父長主義的な支配や考え方を厳しく批判するが、それらを乗り越えようとするフェミニズムの思想や実践が、各章ごとに、大変分かりやすく説明されている。
 著者たちの苦難の道のりが偲ばれるが、それでもフェミニズムの未来に向けて努力していこうとする熱い思いが全編から伝わってくる。


 アメリカと日本では異なるかもしれないが、議会や有力業界団体、学会等への女性の進出が世界でも低い日本では、もっと酷い状況なのかもしれない。

 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年9月6日
読了日 : 2020年9月6日
本棚登録日 : 2020年9月6日

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