2通の恋文。ただそれだけの材料が、かくも味わい深く面白い物語になる。
都会の軽薄な遊び人が、自分に夢中になった野暮ったい田舎の文学少女を振る。しかし、後に社交界の華として彼女が再び目の前に現れた時、彼女を愛し始める。
…とオネーギンは思っているらしいが、そうではない。誰から見ても美しく洗練されて、しかも人妻である女を征服したいだけだ。この俺が相手してやるっていってるのに、何で返事寄越さないの? 大人の女になったタチヤナからしたら、この男の浅さも何もかもお見通し。初恋の思い出を当の相手に汚されるほど嫌なことがあるだろうか。こんないけ好かない男、今すぐ消えてほしいんだけど。
ああ彼女は、今になってあの時の復讐をしてるのか…。とか何とか、勝手に悲劇の主人公を気取ればいいよオネーギン。
(映画、観た? 白い氷上でスケートをするタチアナは黒一色の衣装で、凛とした美しさ。まあね、これではね、オネーギンでなくても見とれるよね)
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年7月31日
- 読了日 : 2023年7月31日
- 本棚登録日 : 2023年7月31日
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