オネーギン (岩波文庫 赤604-1)

  • 岩波書店 (2006年9月15日発売)
3.61
  • (18)
  • (37)
  • (44)
  • (8)
  • (0)
本棚登録 : 489
感想 : 48

2通の恋文。ただそれだけの材料が、かくも味わい深く面白い物語になる。
都会の軽薄な遊び人が、自分に夢中になった野暮ったい田舎の文学少女を振る。しかし、後に社交界の華として彼女が再び目の前に現れた時、彼女を愛し始める。
…とオネーギンは思っているらしいが、そうではない。誰から見ても美しく洗練されて、しかも人妻である女を征服したいだけだ。この俺が相手してやるっていってるのに、何で返事寄越さないの? 大人の女になったタチヤナからしたら、この男の浅さも何もかもお見通し。初恋の思い出を当の相手に汚されるほど嫌なことがあるだろうか。こんないけ好かない男、今すぐ消えてほしいんだけど。
ああ彼女は、今になってあの時の復讐をしてるのか…。とか何とか、勝手に悲劇の主人公を気取ればいいよオネーギン。
(映画、観た? 白い氷上でスケートをするタチアナは黒一色の衣装で、凛とした美しさ。まあね、これではね、オネーギンでなくても見とれるよね)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年7月31日
読了日 : 2023年7月31日
本棚登録日 : 2023年7月31日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする