松浦寿輝『花腐し』講談社文庫。
第123回芥川賞受賞作の表題作の他、受賞後第1作『ひたひたと』を収録。
可もなく不可もなく。久し振りに経験した、ただただ短編の雰囲気を味わうだけの得体の知れぬ時間だった。2作ともアウトローに成り切れぬ中途半端な男が主人公である。
『ひたひたと』。何とも幻想的な短編。こういう小説を味わうのも良いが、身になるものは無い。元遊郭だった街で子供の頃の記憶と現実との間を漂う榎田。暫く無職を続けながらナミという女性と付き合う甲斐性無しの榎田。
『花腐し』。映画化されるようだ。退廃的な雰囲気の中、借金で首が回らなくなった2人の男の全く異なる考え方。友達に裏切られ、共同経営していた小さなデザイン事務所が倒産直前で借金を抱える栩⾕は、貸主から頼まれ、路地裏の古アパートに居座る伊関という男を立ち退かせようと伊関の部屋を訪ねる。何故か栩⾕は伊関と酒を酌み交わし、伊関の過去と現在を知る。
本体価格600円
★★★★
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2023年10月13日
- 読了日 : 2023年10月13日
- 本棚登録日 : 2023年10月12日
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