連城三紀彦『白光』光文社文庫。
連城三紀彦の最高傑作との呼び声の高い長編推理小説である。刺激的な紹介文の踊るオーバーカバーを本屋で見掛ける度に気になっていたのだが、たまたま近所の古本屋の100円本コーナーで見付けて購入した。
読み進めば、読み進む程に暗澹たる気分に陥って行くような嫌な味わいのミステリー。登場人物の各々の視点で家族崩壊へとつながるドロドロとした悲惨な事件が描かれる。登場人物の誰もが犯人の可能性があり、家族に関する深い闇を抱えている。二転三転する犯人の正体……絡み合った蜘蛛の糸のような複雑な人間関係と驚愕の哀しき結末……
老人性痴呆気味の桂造、桂造の息子の立介、立介の嫁の聡子、立介夫婦の娘の佳代の4人が暮らす平凡な家庭で事件は起きる。或る暑い夏の日に、聡子の妹の幸子がカルチャーセンターに行くため、4歳になる娘の直子を聡子の元に預けに来る。直子を預かった聡子は娘の佳代を歯医者に連れて行くため、祖父の桂造に直子を託す。聡子が歯医者から家に戻ると直子の姿が無く、桂造に問い質すと見たことの無い若い男が直子を庭の木の下に埋めたことを夢うつつの状態で話す。果たして、桂造の証言通り庭の木の下から変わり果てた直子の遺体は発見され……
本体価格620円(古本110円)
★★★★★
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2020年7月3日
- 読了日 : 2020年7月3日
- 本棚登録日 : 2020年7月2日
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