八日目の蝉 (中公文庫 か 61-3)

著者 :
  • 中央公論新社 (2011年1月22日発売)
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本棚登録 : 21603
感想 : 2379
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『8日目の蝉、涙堪えるの大変だった。』
『聖地巡礼したもん!』

そんな風に会社の先輩におすすめされ
手に取った『八日目の蝉』。

全2章からなり
1章では、不倫相手の奥さんが産んだ娘を誘拐し、
薫と名付け、逃亡しながら自分の娘として深い愛情を注ぎ続ける4年間。希和子の目線で話が進んでいく。

2章では、実の家族の元に戻った娘、薫目線で
話が進む。
実の両親と自分を誘拐した母親たちについて。
1章では語られなかった事実やそれぞれの関係性、
家族と暮らす薫の葛藤が書かれる。

実の家族からの愛情を感じられない事を
全て希和子のせいだと恨みながら生きていく薫。
そんな薫自身も不倫相手の子供を妊娠してしまう。

薫の人生が切なくて、このお話のゴールはどこに向かって行くのかなと心配しながら読み進めていたが、
最後、薫がお腹の子供を産もうと決意した時に、抱えていた不安や恐怖が消え、不倫相手や自分を誘拐した母への憎悪から解放される場面で、やっとホットできた。

全てを受け入れて前進しようとする薫のたくましさに頑張ったね!と声をかけてあげたくなるような気持ちでいっぱいに…安堵と感動の不思議な読書体験でした(^^)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月5日
読了日 : 2022年2月5日
本棚登録日 : 2022年1月24日

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