月村了衛さん「半暮刻」
読み終わったあとも心がじんじんしている。
警察小説でもガンアクションでもない。
ハードボイルドでもミステリーでもない。
罪を犯した2人の男の人生を深く追体験しているような感覚で読んだ。
主人公の翔太と海斗
2人は同じ時期に軽い気持ちで半グレの世界に入る。
翔太は児童養護施設で育ち不良で学歴もお金もなく、半グレになる道しかなかったから。
反対に、裕福で恵まれた環境に育った海斗は自身の成長と勉強のため自ら選んで半グレの道に。
正反対の2人は「カタラ」というバーでタッグを組み次々と女性を騙し貢がせ利用しおわった後は風俗に送り更に搾り取る。
罪を犯した2人の対照的な人生を通して日本社会のグレーな部分に焦点をあて、本当の邪悪とは何かを書き上げている気がした。
読んでいる間ずっと苦しかった。苦しいけれど読む事をやめられない。目を背ける事ができない。最後の1ページを読んでやっと息ができた。そんな読書体験でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年10月21日
- 読了日 : 2023年12月9日
- 本棚登録日 : 2023年10月13日
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