Audibleで読みました。
まさか法廷ミステリーだなんて足元をすくわれました。それにしたって中学生の裁判ごっこか〜、などと笑ったわたしはいとも簡単に宮部ワールドの餌食になりました。
大出が過去にふるってきた暴力、その大出に降りかかった殺人容疑という空気の暴力。その対立軸を中心にして少しずつ回転し始める真相究明の刃。柏木・三宅・もりりんの隣人のおばはんという歪んだ人間の素性が少しずつ白日に晒されていきドキドキです。この読者が犯人を知ってるコロンボ式のやり方は、前作模倣犯でも使われていました。本作では知っている部分と、知らない部分とが巧みに混ぜこまれていてさらにミステリーを奥深くしていると思います。
家事や通勤中だけでなく、家族団欒の時間までAudibleですっかり聴き耽ってしまいました。文句なく面白い。
それにしても異常者とその家族、この物語で言えば柏木家・三宅家・垣内家のありようが事件そのものを賑わせてしまう構図は、バブル崩壊後の異常犯罪が流行りだした世相を反映しているのか?と改めて感じました。その中でも聡明に生き残る人間と、そうでない人間という残酷な事実が突きつけられているようで、我が身を振り返って厄年を過ぎた今からでも成長しようという気にさせてくれる作品でした。
さあ、いよいよ開廷です。次巻へ急げ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年3月31日
- 読了日 : 2023年6月13日
- 本棚登録日 : 2023年3月23日
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