伊吹有喜さんは雲を紡ぐから二作目。
タイトルから、誰かが亡くなって四十九日の間のお話なんだろうなぁとは思い、また装丁が穏やかなのほほんとした感じだったことに…騙されたっ。。
熱田家の母、乙美さんが突然の死を迎えます。家はゴミ屋敷、抜け殻のようになった父と、事情を抱えて帰省した娘の元に現れたのは、乙美さんの元教え子だという金髪ギャル(←年代)の井本さんという女の子。
自分の四十九日までの間、家を整えて法事の代わりの大宴会をするために、生前乙美さんにお願いされたと(契約金支払済)あれよこれよと世話を焼いていきます。
最初は困惑する父と娘も、イモちゃんの人柄や乙美さんの思いを理解していくうちに…。
人が亡くなった時、あの時ああしてれば、こんなこと言わなければ。これが最期だとわかっていれば…と思うものです。
父の後悔と妻への想い、娘の母への想いと現在の家庭の問題。そして、乙美さんが生前お手伝いに行っていた施設でしていた事。
それぞれの思い出の中の乙美さんしか出てきませんが、生前の乙美さんの落とした水滴が波紋となって周りの人へ、亡くなった後も受け継がれていく、そんな物語でした。
そしてまた、女性としての生き方、家族の意味、特に子どもについては物語の重要なキーワードでした。
『レシピ』に込められた本当の意味。
悲しくて、苦しくて…はらはらと涙が溢れる、というよりも咽び泣いて化粧が全てハゲ落ちてしまった一冊。
悲しかったけど、すごく人を大切にしたくなるお話でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年2月20日
- 読了日 : 2022年2月19日
- 本棚登録日 : 2022年2月19日
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