私にとって決して読後感がほっとする作品ではありませんでした。
でもだからこそ現実味があった気がします。
主人公夫婦は結婚10年目で、子供のいない夫婦。
読んでいて際立つのは、妻のたくさんの問いかけにも
ほとんど生返事な夫の態度です。
そんな夫の態度に妻はまるで泣いているかのように
いつも笑ってしまっています。
だからといって向き合っていない夫婦かといえば
そういうわけでもなく、程度の差や表現の違いは
あれ、夫婦というのはそういうものなのかも
しれない、と結婚して1年半経つ私には
ずしん、と心にくる物語でした。
江國さんの文章は、いつもながら表現が素敵で
同じ風景や心情を書いても、ほんとうに日本語が
きらきらしています。
私は秋から春先にかけて、毎年なにかしらの
作品を読み返している作家さんです。
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2008年10月19日
- 本棚登録日 : 2008年10月19日
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