初読みの作家さん、薬丸岳。
読んでいてどれだけ心が苦しくなろうが、本当の痛みや悔しさや憎しみは当事者にならない限り計り知れないのだろう。
弁護士のエピソードが印象的でした。悪党を弁護することにも「誰かがやらなければ、」と信念を持っていたが、家族が殺され、被害者側になった時その信念が崩れ落ちる。
現実や小説で加害者側の弁護をしている弁護士に時々感じていた「どういう気持ちで弁護しているのだろう?」と言う疑問にスポットが当てられていて興味深かった。
そして被害者側はもちろん、加害者側の苦しみもひしひしと感じさせるのだが、もしも自分が当事者になってしまったら、赦せるのか?自分はどうやって生きていくのだろうとじっくり考えさせられる作品でした。
「いつでも笑っていいんだぞ。いや、笑えるようにならなきゃいけないんだぞ。おれたちは絶対に不幸になっちゃいけないんだ」
「悪党は自分が奪った分だけ大切な何かを失ってしまうこともちゃんとわかっている。それでも悪いことをしてしまうのが悪党なんだよ」
「それがお前の生きかたか?」
「ああ…死に際にでも、自分が奪ってきたものと失ってきたものを天秤にかけてみるさ」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年8月1日
- 読了日 : 2022年8月1日
- 本棚登録日 : 2022年7月29日
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コメント 1件
しんさんのコメント
2022/08/01