映画化された年に読み、何年振りかの再読です。もうこれは泣きます。大号泣です。内容がわかっていても泣かずにはいられません。
最近修学旅行ぶりに、広島の平和記念館、原爆ドームに足を運びました。そしてふと読み返したくなったのです。フィクション小説なのに、永遠の0の宮部久蔵という人はね…と、史実みたいに語りたくなってしまいます。彼たちに思いを馳せ、想像しますが、決して現代を生きる私たちには到達できない境地でしょう。そして「それが普通」の世に産まれたら、世が言う普通を受入れ、そこにそれぞれの意味を見い出すことができるのが人なのだと思うと、人って本当に凄いとも思いました。
日本軍が自国の兵隊を粗末に扱い、人の命よりも航空機や武器を温存した話。人が操縦するロケット爆弾の桜花。アメリカの博物館に展示されていた桜花の名前がバカボム、すなわちバカ爆弾であったという…。人間魚雷の回天。脱出装置はなく、一度出撃すれば攻撃の成否にかかわらず乗員の命はなかったという。死ぬための訓練…。こんなモノを考えた人は同じ人であろうか?自分と身内のこと以外は同じ人とすら思っていないのでしょうか。兵隊の命を大事に扱ったアメリカ軍との対比がなんとも言えない気持ちになります。ですが、発案した方たちがまずは乗って試したと言う史実があれば、前言撤回しなければならない感想です。
またメディアの欺瞞や、責任を取らないエリート層が作中でも描かれている。メディアと官僚の組織体制の良くない部分は現在も昔と変わってないのかな?と思わされます。大衆を動かしたい方に動かすにはどうしたって仕方のないことなのかもしれません。第九章カミカゼアタックの武田貴則と新聞記者のやり取りは何度も読み返したい。
永遠の0の映画公開が2013年なので、この小説を初めて読んだのがもう11年も前になります。当時今よりも遥かに戦争や歴史に対して無知だった私が映画を観て、原作を読み、もっと知らなければと思ったことを思い出しました。エンタメ小説といえど学びの一冊です。宮部久蔵、景浦介山、大石賢一郎、みんなかっこよすぎました。
- 感想投稿日 : 2024年3月16日
- 読了日 : 2024年3月13日
- 本棚登録日 : 2024年3月1日
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