豊かな自然と精霊の息づく島の、
透明な、絵はがきみたいな短編集。
見たことがないはずの美しい景色が鮮明に、
なぜか懐かしく思い浮かぶような、
原風景のような作品でした。
それにしても、精霊とか南の島とか、
そんなに馴染みやすい舞台設定ではないはずなのに
なんでこんなにすっとはいってきて、
心地よく馴染むのか。
子供を読者として想定している池澤さんの作品、
すごい好きだ。
風景描写もさることながら、
登場人物のおおらかさ、あっけらかんとした感じも
さっぱりと心地よい。
“たぶん勇気というのは男らしさや元気や
無謀な冒険心とはまるで違うもので、
ひょっとしたら愛と関係があるのかもしれない。”
主人公のティオが優しくて、素直で、
透明で研ぎ澄まされた感性の持ち主なので、
この物語の案内人として
とっても優秀なのもいいんだろう。
実は大学生の頃、『ティオの夜の旅』という
合唱曲を歌ったことがあって、
この作品が原作になってるんだけど、
これも風景の浮かぶ名作なので
ぜひ一緒に味わって欲しい。
複数の表現方法で
ひとつの作品世界を味わえるなんて超リッチだ…!
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年5月5日
- 読了日 : 2021年5月5日
- 本棚登録日 : 2021年5月1日
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