ー 愛なんて言葉がなければよかった。そうしたら、きっと許してあげられたのに
くちなしの花言葉は「とても幸せです」「喜びを運ぶ」だそうだ。しかし、日本においては花の名前から「死人にくちなし」とか「嫁にもらうくちなし」とか、そういうひどい言葉を連想しあまり縁起が良くないと捉える人もいる、という。
幸不幸両方のイメージを想起させる花であり、あなたにとってはどっち?ということだが、この短編集についていうと、「両面ある」という感じかな。
とても懐が深い。
彩瀬さんの小説には、我々人間とは似て非なる生き物の人がよく出てくる。
例えば、簡単に腕がもげたり、卵を産んだり、大蛇に化けてしまったり…
なんか化け物みたいで怖いのだが、そんな人たちに共感してしまうのは、人間にはそういう化け物的側面が備わっているからなのだろう。
人間でない生物に人間の本質を教えられる感じがして、彩瀬さんってすごい!
第158回直木賞候補作。
選考委員の中では東野圭吾さんがこの作品を推していて意外な感じがした。先日亡くなった伊集院静さんが「大変に佳い作品」と評価された二作のうちの一つ「茄子とゴーヤ」がこの短編集の中ではフェイバリットでした。
あと「けだものたち」がいいですねぇ
♫くちなしの花/渡哲也(1973)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2023年12月9日
- 読了日 : 2023年12月9日
- 本棚登録日 : 2023年12月9日
みんなの感想をみる
コメント 1件
ゆーき本さんのコメント
2023/12/09