ブクログのレビュー読んでずっと気になっていた本。
本屋さんで気が向くと文庫本を探してたのだが、なかなか出会えなかった。3カ月越しでようやく遭遇でき、即購入。
多くの方がレビューで書いているとおり大変恐ろし〜い小説。心が抉られる場面が随所にあり、全身で反応してへとへとになる。
収入は高いが仕事はハードな大手商社に勤める志村栄利子(30歳)は、ダメな主婦のおひょうこと丸尾翔子のブログを読むこと。
偶然にも近所に住んでいた栄利子と翔子はある日カフェで出会う。同性の友達がいない二人は親しくなるが…おそろしいことになっちゃうんです。
主な登場人物は、栄利子も祥子も桂子も真織も結構極端。だから、あまり「女子だから」とか一般化しない方がいい。そりゃ、女子は怖い…かもしれないけどさ…。
というか、女子に限らず、男性でも、みんな少しずつ、他人へのいびつな期待を持っていて、そんな自分と戦いながら生きている。
負けたらストーカーになったり、人を激しく傷つけてしまうかもって、必死に頑張っている。
たいていの人は、辛うじてまともを保っている。
そんな感じなんじゃないのかな。
だから、親しい友達が持てなくても、それは別に自分のせいじゃない。
周りの環境のせいだ。
タイトルになっているナイルパーチという魚は、生態系の頂点に君臨し、他の魚が攻撃できないほど大型化する。繁殖力が高く水産資源として重要な役割を持つ一方で、侵略的外来種の指定を受けるなど管理が必要な魚とされている。
過去にヴィクトリア湖の生態系を破壊し尽くした、悪い魚だけど、それは人間が食用として放流したせいであって、ナイルパーチ自体に罪はない。
人間関係も同じ。
そう考えれば結構楽なのでは。
読みながら、
他人と過去は自分の思い通りにならない。
思い通りにできるかもしれないのは、自分と未来…なんてアドラー的なことが思い浮かんだ。
全体とおして、なかなか辛いんだけど、最後は少し救いがある。
僕はこの小説、とても好きです。
- 感想投稿日 : 2020年9月19日
- 読了日 : 2020年9月17日
- 本棚登録日 : 2020年9月15日
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