聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2018年7月13日発売)
3.59
  • (62)
  • (124)
  • (130)
  • (27)
  • (7)
本棚登録 : 1429
感想 : 105
5

前作では「本格ミステリにこんなことができたのか!」と「奇蹟を追い求める探偵」というキャラクターや、それだけでも一つの作品が書けそうな現実離れしたトリック、そしてそれを凌駕する見事な反論に驚かされた。

そして2作目である本作では、その驚きはさらにパワーアップしている。
まず注目すべきポイントは「仮説の多さ」だ。

奇数番殺害説(アミカ単独犯説)
時間差殺害説(翠生、紀紗子共犯説)
一人前犯行説(アミカ、花嫁、キヌア複数犯説)
犬故意乱入説(双葉、花嫁、共犯説)
全員共犯説
ピザ毒混入説(花嫁がアミカのピザに毒を混ぜる)
砒素耐性説(花婿母と妹二人、又は花嫁も砒素耐性)
屋根裏の暗殺者説(家政婦が屋根裏から管で毒混入)
酒器仕掛け説(酒器を三層に分け、後半のみに毒)

ざっと9個もの仮説が出てきており、そしてそれら全てに対して、"濡れたサンダル"や"高級な着物"などの伏線を回収しながら、見事な反論がされている。
前作同様、前提を覆す、仮説とは比べものにならないほどのシンプルな真相も良かった。

箇条書きにしたり、表にしたりしてまとめてくれる優しさもありがたい。

書くのは大変だろうが、三作目にも期待したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月30日
読了日 : 2021年5月28日
本棚登録日 : 2021年5月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする