真田太平記(十一)大坂夏の陣 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1988年3月1日発売)
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本棚登録 : 1189
感想 : 72
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今までの10巻の中でどうしても気になって仕方がなかった「大義」、モヤモヤとしたものが付き纏っていたが少しづつ解消されてきた。家康の大義、幸村こ大義そもそも同じ目線で比べるのは間違いであった。為政者と武将そもそも終着点が違っていた。もし比べるのであれば家康と秀頼であって幸村ではない。しかしこの真田太平記で描かれる家康は広い視野で次の段階を見据えていた気がしてならない緻密な根回し、戦になる前の準備・仕掛け!豊臣家を滅ぼし誰かが盤石な泰平の世を築かなければ混乱の世は続く、戦国の世に終止符を打たなければならない、勿論私利私欲を除いてそこが大願であれば逆に素晴らしい「大義」であると思う。幸村が決戦前夜に戦の次の段階はビジョンはあったのだろうか?無かったとしたら、案外共に死を覚悟して戦に向かう士はリーダーをどう見ていたのだろうか?殉死が当たり前の様な当日の価値観が今の私に共有出来ないのは仕方がないとしても興味深い幸村の生き方である。
しかし物語の重厚さ、戦闘の描写、人間模様の展開どれをとっても素晴らしい小説である事に間違いない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史小説
感想投稿日 : 2023年10月5日
読了日 : 2023年9月28日
本棚登録日 : 2023年9月20日

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