不幸から守ってくれる代わりに、身体の一部を持って行ってしまう神様サイガサマ。
但し、ひとつだけ絶対に持っていってほしくない体の部位を、粘土や石膏、編み物などで作り、申告物として奉納することで、失うことを回避できる。
主人公のシゲルが住む町では、冬至の日に人を模した巨大な籠の中に町民の申告物を投げ入れ燃やすという一年に一度の祭りが恒例になっている。
時間が経ってしまったので記憶が薄れているけれど、高校生の主人公・シゲルを中心に、祭りの準備をめぐり、不登校の弟やバイト先の公民館の人々、高校で別れ別れになってしまったセキヅカなどと関わっていくことで話が展開される話。
2作目に収録されている『バイアブランカの地層と少女』は、京都で観光案内サークルをしている大学生が主人公。
海外カルチャーに興味のある私からすると、地球の裏側に住むアルゼンチンの少女とオンライン上でやりとりしながら思いを馳せていく様がとても共感できた。
なかでも、大の飛行機嫌いのくせに、急に思い立ってアルゼンチンへ旅経とうとする臨場感に、とてもわくわくし、そうだよな、大学生ならお金さえあればふらっと行けるよな、と無性に羨ましくなった。
タイトルの『これからお祈りにいきます』という言葉が指すように、2作とも宗教に関する物語。
アニミズムの日本らしい作品で、外国人にも勧めたいと思える小説だった。
そのわりに、記憶が薄れてうまく作品の良さをレビューでアピールできないのが残念。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2024年3月22日
- 読了日 : 2024年3月14日
- 本棚登録日 : 2024年3月14日
みんなの感想をみる