『舞姫』を何年も前にちくま文庫で読んで、全くわからなかった。文語がわからないとか、単語がわからないとか、そういうことではなく、何か一々言葉の後ろに別の言葉があるような、表面の、額面の意味だけではないような、そういうもやもやする感じがあった。
『即興詩人』は翻訳なので森鷗外の作品では厳密にはないが、それでもあれを読んだ時は確かに森鷗外って良いなと思えた。話によれば原著を原著のまま読むとそうでもないらしい。現に同作があそこまで日本で受け入れられ、有名なのは森鷗外の訳があったからとか。
そして『雁』。読みやすい。なんだこれはとたまげたくらい読みやすい。ある意味ですごく小説らしい。自然主義を騙った私小説が幅を利かせていた当時の日本にあって、この作品は真の意味での自然主義ではないかと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
岩波文庫(緑)1927
- 感想投稿日 : 2022年12月15日
- 読了日 : 2022年12月15日
- 本棚登録日 : 2022年12月12日
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