宮本武蔵(四) (吉川英治歴史時代文庫)

著者 :
  • 講談社 (1989年12月5日発売)
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感想 : 46
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4巻は、さらに武蔵の心と技が磨かれていく。
これまで愚直に、強くなることだけを考えて修行を重ねた武蔵だが本阿弥光悦や吉野太夫との出会いの中で、本当の強さとは、心を張り詰めて自身に厳しくあるだけではなく、適度に緩みを持たせるしなやかさを持つことだと悟る。
「生きている間の花は咲かせても、死してから後まで、この牡丹の薪ぐらいな真価を持っている人間がどれほどありましょうか。」(吉野太夫)

物語は吉岡一門との決闘に向かって、徐々に緊迫感を増していく。武蔵は死を受け入れて戦う決意を固めるが、その中に「生きたい」と願う心を知る。
生命を愛するということは、命の終わり方に意義をもたせることだと戦う覚悟を決める。
武蔵が圧倒的に不利な中、「生きる」ために剣を振る、怒涛の決闘のシーンに息を呑む。武蔵の代名詞である二刀流はこの戦いの中で生まれ、実戦の中で育つ技と心こそ本物なんだなと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月12日
読了日 : 2021年5月25日
本棚登録日 : 2021年4月14日

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