斜陽 他一篇 (岩波文庫 緑 90-3)

著者 :
  • 岩波書店 (1988年5月16日発売)
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感想 : 110
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敗戦後に没落貴族になってしまった、ある家族の
お話で、健気に生きていく家族たちの日常を上手に描いている。かつての栄光が、廃れていくその
環境でどう生きるのか、10年前に父を亡くし、東京から伊豆の山荘に母と慎ましく生活している娘のかず子、彼女は、恋と革命に生きようとしている。南方の方に出兵して、消息不明となっていた弟の直治、何とか生きて帰還することができた彼だったが、彼もまた、阿片に取り憑かれ破滅に進んでいく。母も結核に罹り、かず子一人が家族を支えている状況だ。
そんなかず子の前に一人の男が現れる。直治が
東京で知り合った作家の上原だった。
彼に出会いかず子の中で、恋の革命が始まろうとしていた。戦後爆発的人気を呼び、「斜陽族」という言葉さえ生み出した、著者の代表作。
かず子のモデルになった人物も有名で、まさしく
太宰治自身がこの作品の登場人物なのです。
私小説に触れた最初の一冊でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年9月6日
読了日 : 2023年9月6日
本棚登録日 : 2023年9月6日

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