終わった人 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2018年3月15日発売)
3.79
  • (122)
  • (323)
  • (186)
  • (32)
  • (5)
本棚登録 : 2355
感想 : 265
3

NHKでのドラマ三田佳子さん主演「すぐ死ぬんだから」がとても好みだったので、手に取った一冊。

人生終盤の在り様、居場所の探し方は高齢化社会ならではのもの。先述のドラマ同様、そんな時期の男女の心の彷徨う様子を作品にしている。

東北の片田舎出身で東大法学部卒のエリート銀行マンであったはずの主人公 田代が主人公。
「であったはず」がミソ。気が付くと出世街道から外れ、出向先が転籍先となり、寂しく定年退職を迎えるところから話が始まる。

「であったはず」の人生を終盤にどう帳尻合わせするか、落としどころを見出すかが本当に難しい。

仕事や肩書と自分、あるいは長年の夫婦としての伴侶との関係性、親と子どもの距離等々、他者や周囲からの承認や受容に軸足を置いていると、最後独りぼっちなんだろうな。

脚本家である内館さんの作品らしく、良くも悪くも映像的というか、展開と会話でぐいぐい話が進むので、途中でおなかいっぱい。

東大法学部卒でエリート銀行員という主人公の設定もさもありなん。
東大卒も色々いるから、紋切り型だなと。

でも、内館さん脚本のドラマ『想い出にかわるまで』(今井美樹主演。松下由樹さんの好演が素晴らしかった。)、朝ドラ『ひらり』『私の青空』は今でも記憶に残る作品。
やっぱり映像のほうが好みかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月17日
読了日 : 2020年10月16日
本棚登録日 : 2020年9月7日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする