NHKでのドラマ三田佳子さん主演「すぐ死ぬんだから」がとても好みだったので、手に取った一冊。
人生終盤の在り様、居場所の探し方は高齢化社会ならではのもの。先述のドラマ同様、そんな時期の男女の心の彷徨う様子を作品にしている。
東北の片田舎出身で東大法学部卒のエリート銀行マンであったはずの主人公 田代が主人公。
「であったはず」がミソ。気が付くと出世街道から外れ、出向先が転籍先となり、寂しく定年退職を迎えるところから話が始まる。
「であったはず」の人生を終盤にどう帳尻合わせするか、落としどころを見出すかが本当に難しい。
仕事や肩書と自分、あるいは長年の夫婦としての伴侶との関係性、親と子どもの距離等々、他者や周囲からの承認や受容に軸足を置いていると、最後独りぼっちなんだろうな。
脚本家である内館さんの作品らしく、良くも悪くも映像的というか、展開と会話でぐいぐい話が進むので、途中でおなかいっぱい。
東大法学部卒でエリート銀行員という主人公の設定もさもありなん。
東大卒も色々いるから、紋切り型だなと。
でも、内館さん脚本のドラマ『想い出にかわるまで』(今井美樹主演。松下由樹さんの好演が素晴らしかった。)、朝ドラ『ひらり』『私の青空』は今でも記憶に残る作品。
やっぱり映像のほうが好みかな。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年10月17日
- 読了日 : 2020年10月16日
- 本棚登録日 : 2020年9月7日
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