臨床心理学者 平木典子さんによる親子の意思疎通と子どもの表現方法の指南書。
すでに子どもたちは独立しましたが、平木さんの「アサーションassertion」に興味を持ち手に取りました。
他者のための自己抑制や自己犠牲は大事ではありますが、自分の気持ちや考えを他者に理解してもらうことは実はとても重要であるにもかかわらず、あまり光が当てられることはないなあと感じています。
自分を主張するなどと、押し付けがましいとか、強欲に見えるとか、漠然としたイメージを持つのは私だけでしょうか。
言わなくてもわかるという時代はもう過去のものと考えています。
自分以外はすべて他者という前提に立って、語彙と経験の少ない子どもに対して、折々に掛ける具体的な言葉を親が学ぶことはとても重要だと思います。
共感や同意に何かと重きが置かれますが、一人一人が違った視点や経験を持ち、それゆえものの見方や感じ方は必ずしも一致しなくていい、或いは「違っていて当たり前」を肝に銘じたいと感じました。
加えて、自分の感じ方や考え方をより適切に伝えるためには豊かな語彙が助けになることを確認しました。
私の子育て中はハウツーは漁るものの日々必死過ぎて、「ねばならない」で頭がいっぱいだったなあと反省です。親も子どもに向き合う前に、自分にじっくり向き合い、ゆとりを持たないとなかなか難しいですよね。その余裕が持てなかったなあ。
最後に本著から外れますが、今日の衝撃的なニュースに触れて、「怒り」を抱えたら、適切な言葉で相手に伝えないと。
攻撃性だのみの乱暴な態度や暴挙はあってはならないと思います。「怒り」はあって当たり前の感情ですが、不適切な表現ではなく「言葉」ですよね。
- 感想投稿日 : 2022年7月8日
- 読了日 : 2022年7月6日
- 本棚登録日 : 2022年7月6日
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