臨床心理士 高岡佑壮さんの著作のなかで平木さんの「アサーションassertion」関連が紹介されていて、手に取りました。読んでよかった1冊。
平木さんが説く「アサーションassertion」は単なる前向き思考や、気の持ちようの精神論とは一線を画しています。
備忘録としてassert 意味:
①to behave in a way that expresses your confidence, importance, or power and earns you respect from others
②to say that something is certainly true
③to do something to show that you have power
(Cambridge Dictionary)
控えめで抑制的な態度がより好まれてきた私たちの社会ですが、自分の考えや重要性を相手に受け取ってもらうために必要な表現や行動はこれから求められると思います。
「アサーションassertion」は日本語に訳すのが難しく、私たちの社会ではなかなか理解が難しいものです。
この概念は長らく社会に存在するのが難しかったと思います。むしろ自己抑制や辛抱が優先されました。
しかし、「結婚し子どもを産み育てる」ことだけが人の絶対的な幸せだった時代はもう過去のもの。時代がやっと平木さんに追い付いてきた気がします。何が充足なのかを考えるきっかけとなりました。
「同じであること」に過剰な価値が置かれますが「異なって当たり前」と軸を変えると世の中が違って見える気がします。
「違う相手」とどう折り合うか。
相手や周囲に譲り過ぎず、相手を威圧支配せず。「抑制」「我慢」「自己犠牲」だけでは持続できません。攻撃では周囲から人が去っていきます。
日常の感情を掬い取り、適切に言語化することにより、相手とも自分とも上手く付き合うことができそうです。
喜怒哀楽のうち、不快系(不安、怒り、苛立ち、嫌悪など)は一般的に歓迎されず、私自身は感じてはならないものとして忌み嫌い、これらの感情を抱く自分を否定し続けてきました。
不快系感情ほど言語化して、自分が何に困っているのか、どうして欲しいのかを明確に炙り出すことで解決に繋がることも見えてきました。
さらに相手になかなかNoを言えない自分に後から悶々としていましたが、「少し考えさせてください」の一言は救いになります。
「言わなくてもわかる」という文化はもう過去のものという気がします。どう伝えるかのスキルトレーニングは必要だと思います。
最後に高すぎる「理想の自分」がいかに荒唐無稽であったかも気づくことができました。「理想」を「現実」に引き寄せることで精神衛生上の課題が少し解消できるように感じます。
自分としっかり対話をして、変わりゆく自分、変わらない自分を見つけながら老いを愉しみたいと思いました。
- 感想投稿日 : 2022年7月8日
- 読了日 : 2022年7月7日
- 本棚登録日 : 2022年7月6日
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