レ・ミゼラブル 上 (岩波少年文庫 536)

  • 岩波書店 (2001年1月18日発売)
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4

T図書館
ジャンバルジャンの周囲を主として抜粋
話をよくするために1、2ヶ所前後を変え、見出しを新しくつけた(訳者あとがきより)
2012年映画化
高校生以上向け

《著者》
1802年軍人の子供として誕生
フランスの詩人 小説家
10代から文学に夢中
1820年死刑囚がギロチンにかけられたのを見て小説の着想を得た
1930年 劇作家
1841年 アカデミー フランセーズの会員
1845年 貴族院議員、小説に着手
1851年 ナポレオン3世のクーデターに反対し 国外追放
1861年小説完成、貧困こそがあらゆる社会悪の根源だと訴えた
19年の亡命生活
1870年 共和制の成立したパリに戻った

《感想》
読みやすかった
文庫本は難しいのでこちらで十分だ
訳が淡々としていて物足りない所もあった
歴史的背景を考えると、人々も荒んでいて、とても面白いなんて言えない内容

版画のような挿し絵が、当時の雰囲気があって非常によい
挿絵画家のエミールバヤール、1879年「虐げられる子供」ユーグ版で描いたもの

中学生の読み物とあった
読めるには読めるが、この痛ましさを感じるられるのは高校生以上だと思う
世界史の勉強に役立てることもできる

○ジャンバルジャンの罪について
姉夫婦の家にお世話になっていた
その後、姉の夫が死に自分が父親代わりになった
52「一家にはパンがなかった
本当に一切れのパンもなかった
それに7人の子供(全員姉の子供)
53その手はパンを1本つかんで引っ込んだ
夜間、家宅を破壊して、窃盗を働きし廉(かど)により、時の裁判官の前に連れて行かれた
密猟もやっていた
不利な結果になった
5ヵ年の懲役に処せられた」
以上抜粋

「パンは一切れ盗んだ」とよく聞くが、「家に一切れがない」とごっちゃになっているのではないだろうか
本当は「1本」でこちらが正しいと思う
懲役中に4回脱獄し、合計19年監獄に入ってた
脱獄する度に加算されたので、19年はパンを盗んだだけの刑罰ではない
脱獄しなければよいのにと客観的に思うが、実際数多くいたそうだ
労働者は1時間働いても、バケット2本を買うこともできないほど貧しく、出所しても黄色いパスポートの所持を義務付け、職にありつくことができず再犯に走る人がいたという
子連れでは働けないのも事実だ
当時の女性の仕事は、お手伝いさんかお針子位しかなく、死なないでいるのがやっとのこと
本当に何という時代だったのだろう

終盤
若い女性ファンティーヌは、娘コゼットに会わせてとジャンバルジャン(オーナーという立場)に託していたさなか、亡くなってしまう
彼はコゼットを悪どい夫婦からコゼットを奪還
親子の形としてしばらく穏やかな日々を過ごした
しかし彼は常に追われる身である
コゼットを修道院に預け、顔を出して見守る
下巻へ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本・児童書
感想投稿日 : 2023年6月8日
読了日 : 2023年6月8日
本棚登録日 : 2023年6月3日

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