アバタロー氏
「私の個人主義」のみ
1914年学習院大の団体に向けて講演会の内容
《漱石が生きた時代》
明治維新、文明開化
西洋の形式だけをまねた外発的なもの
老子思想に傾倒していた漱石
おのずから自然とそうなるか、他からの影響かという概念を重んじていた
この時代に違和感を感じ、民衆も心の拠り所を求めていた
こうした問題意識を踏まえた上、講演で問題解決の糸口を示した
《内容の一部》
〇自分の道を見つける方法
イギリス文学を学ぶことで文学の本質をとらえようとしていた
西洋の作品を研究しても、漢学や俳句のように深く味わうことができないことに直面
探究すればするほど文学がわからなくなり、精神的に追い詰められていった
文学とはどんなものであるか、概念も根本的に自力で作り上げる以外ないと悟った
他人本位から自分本位に切り替えるというシンプルな発想の転換だった
答えを探すのではなく自分で答えをつくろうとした
もし悩んでいるのなら、どんな犠牲を払っていても、ここだという所まで掘り当てるところまで進んでみたらよい
国家や家族のためではない
ご自身の幸福のためにそれが必要だと申し上げている
《感想》
上記の内容が私には刺さった
本当は教師も留学もしたくなかった
真面目でできる人がゆえに、文学の本質に悩み、自分が求めたいものと他者から求められるものの乖離で、精神的に病んでしまったのだな
他の内容は、権力や金力など人間として至極まっとうなことを述べていた
気苦労した人生であっただろうが、現代にまで語り継ぐ作品を数多く残してくれた功績は素晴らしい
著書をまた読んでみたくなった
- 感想投稿日 : 2023年9月4日
- 読了日 : 2023年9月4日
- 本棚登録日 : 2023年9月4日
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