ようこそ、わが家へ (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館 (2013年7月5日発売)
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本棚登録 : 9562
感想 : 945
5

こんなにきれいな伏線回収があるだろうか…!

物語の最終局面でみせた事件の解決の全てが、散りばめられた伏線をすべて回収しているのだから驚きだ。

この物語には2つの事件が並行して進んでいる。
1つは家庭に忍び寄る魔の手について。
2つは倉田の勤める会社の問題について。

数々のトラブルに見舞われ、倉田の精神的・肉体的ストレスは相当なものだと思われるが、そこをうまく利用していたのは倉田の従来持つ性格だ。
争いを苦手とし、出世欲もなく、堅実に与えられた地位で働く倉田はどこか呑気さがあった。
それに倉田を支える優秀な部下と、家族の存在も大きい。
事件が忍び寄ってくるスリルと味方による安心感の塩梅が、うまい具合に丁度いい。

最初どこか頼りなかった倉田は、物語が佳境を迎えると、いつも言い負かしてくる真瀬や社長の持川と対峙し事件の解決を導いた。
そんな倉田の成長も見られ、物語は山をいくつも超えていく。

平坦な物語ではなく、次々と問題が降りかかり、読み手の心拍数も上昇する。少しずつストーカーの手口も増して行き、犯人はまさかの…!といった結末も見事だった。

こんなに贅沢な小説は初めて読んだ気がする。
あっぱれ!大満足の一冊だった!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年11月28日
読了日 : 2019年11月28日
本棚登録日 : 2019年11月28日

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