前半の人間関係とか時系列イベントのつながりが複雑で理解難しかったけれど、後半は一気に読み進んだ。
蜜と鷹の兄弟を中心に、ふたりの故郷の村で生じた万延元年の一揆から朝鮮人との騒動をからめ現代の暴動へと、2人の一族の歴史とからまりながら物語は進行していく。内容の整理には少し時間かかりそう笑
最初は人間の死についてのテーマかなと思っていたけど、そうでもなさそうかなと読了して思う。万延元年の一揆の首謀者である曾祖父の弟に憧れながら自らの恥のために破滅へと向かう鷹と、現実的かつ客観的な見方で淡々と鷹を否定する心に傷をおった蜜。蜜はあてどない生をただひたすらに全うしていくネズミであり、世の中のmajorityを体現しているように思う。人生を賭して行動をおこす鷹は破滅的で無意味に思える。しかしそれはあくまで主観的であり、鷹はそうすることで自己実現を成し遂げることができた、本当のことを言うことができた。誰もが皆本当のことを言おうとしない、もしくは言うべき本当のことを持っていない。それを言おうとすれば、殺されるか自死するか気狂いしてしまうからだ。
最終的には歴史が繰り返されると同時に、破滅と再生が誘われるようなイメージが自分の頭の中にはのこりました。きれいな文体と、時間軸の混合および人物描写の巧さが魅了的で、非常に面白い本でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年2月13日
- 読了日 : 2022年2月13日
- 本棚登録日 : 2022年2月4日
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