ヴェニスの商人 (白水Uブックス (14))

  • 白水社 (1983年10月1日発売)
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感想 : 23
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シェイクスピアの喜劇?
なんとなくのあらすじは知っていたが、ずっとタイトルのヴェニスの商人が悪者役かと思っていた。

借金の抵当に肉1ポンドという発想が面白い。そして、解決方法は、血を一滴も流さずにというこれまた面白いトンチのような理論。

ただこの理論で言い負かすのがポーシャなので、いまいちカタルシス的には物足りない。
ヴェニスの商人、アントーニオが解決していればもっとスカッとする話になった気がする。
後で書くように、シャイロックが可哀想に感じる理由に、アントーニオという当事者が裁きを下したのではなく、ある意味部外者が裁きを下してしまったところにもあると思う。

シャイロックに同情してしまう。
確かにシャイロックも慈悲がなく金に汚い人間ではあったが、あまりにも可哀想。
金も肉も一切受け取れないばかりか、むしろ財産を奪われる始末。娘にも金を持って家出され、散々な目に。
時代なのかユダヤ蔑視が凄まじい。セリフの言い回しが面白いだけにことさら。

ヴェニスの商人であるアントーニオの友情の厚さは素晴らしく、最終的にシャイロックに慈悲を与えるのも優しい(?)が、キリスト教への改宗を条件にしたり、基本上から目線だったりと、現代の西洋人にも目につくような、キリスト教的傲慢さが垣間見える。

面白いセリフがたくさん。聖書でもそうだが、例えが上手く面白い。
勉強になる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年1月15日
読了日 : 2023年1月15日
本棚登録日 : 2023年1月15日

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