おやすみプンプン (1) (ヤングサンデーコミックス)

著者 :
  • 小学館 (2007年8月3日発売)
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感想 : 451
4

全巻
難しい内容で暗くて苦しいような場面が多かったけど、プンプンが人間じゃない見た目だったからこそ、読めたのかもしれない。
プンプンは現実の世界にいれば、異様な存在であるはずなのに、作中では周囲の人々の扱いからも分かるように普通の人間として扱われている。
途中までは、みんな同じ人間に見えて本当は違う生き物くらい違うし、みんなプンプンのような存在なんだというメッセージなのかと考えていたが、最後まで読んで違う意図を汲み取った。
プンプンは子供の頃はただ純粋な子供だったけれど、話が進んで成長していくにつれて4つ目の男になったり、角が生えたりする。全ての始まりは、小学生の頃に一目惚れした愛子ちゃんであり、当初は純粋な恋心だったはずなのに、愛子ちゃんの小学生とは思えないような言動が、成長して愛子ちゃんと疎遠になってもプンプンを縛り続ける。誰にでもある小学生の頃の初恋から、当たり前のごく普通の人生のように見えて、少しの選択でどんどん狂っていくプンプンの人生が変にリアルだった。
小学生の頃のメンバーたちの成長の様子が途中途中で挟まれるが、あんなに無邪気だった子供たちがそれぞれ辛く重たい現実を生きて、幸せに見えるあの子も心の中では人生楽勝すぎて意味わかんないなんて思っていて、人を殺さなきゃなんて刺激を求めている。
最後の場面で小学生の時の同級生と遭遇するプンプンであるが、その同級生はプンプンの名前を思い出すことができなかった。そして、壮絶な狂った人生を送ってきたプンプンが、彼の目にはただの幸せな普通の人に見えるのである。
主観から見た他人なんて主観に過ぎず、実際はどうであるのかなんてわからない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年7月3日
読了日 : 2022年7月3日
本棚登録日 : 2021年5月2日

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