ローマ人の物語 (13) ユリウス・カエサル ルビコン以後(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2004年9月29日発売)
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感想 : 122
5

カエサルがついに暗殺されてしまった。
暗殺したけど、その後の展開がお粗末すぎて、カエサルの無念さが逆に強くなる。人を殺して問題を解決するのとの無意味さが良くわかる13巻であった。暗殺は意外に簡単。問題はその後。暗殺で開かれた道は茨でしかなく、暗殺者はその茨の道を歩み滅ぶしかない。現代にもそれは通じる。テロや暗殺で開かれていく平和はない。
オクタヴィアヌスを指名していたカエサルが最後まで完璧すぎる。クレオパトラの息子の待遇にも大きな意味があったのに、それに気づけなかったクレオパトラの愚かさにも泣けてくる。
カエサルという人はあまりに完璧すぎじゃないか。面白くないほどに完璧で英雄。これを読むと3月15日を特別な気持ちで迎えることになりそう。
アントニウスもクレオパトラも自分のこと、自分の癖や俯瞰で見るということができていなかった。だが、彼らを非難的に見ることはあまりに酷い気もする。立場に見合っていなかったというだけ。2人の最後もなんだかとても胸が痛んだ。カエサルの暗殺はもちろん、暗殺者のその後の動向、キケロの最後、最後の最後まで胸が痛んだ。オクタヴィアヌスが、ローマが勝利しているのだが、喜べずとにかく物悲しさがずっとつきまとう13巻だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年11月6日
読了日 : 2023年11月6日
本棚登録日 : 2023年11月6日

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