八つ墓村 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (1971年4月26日発売)
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本棚登録 : 3866
感想 : 406
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初、横溝正史です。

『皆様、心してください。
これが”本家”の凄さです。』

と、辻村さんの帯コメントがありました。

さすが本家。
不気味さの演出もさることながら、一人一人の置かれた立場により伴う行動や心情が入り組んで謎をより複雑な方向へ導いていく。
主人公辰弥が徐々に疑心暗鬼になっていく様も堪らなく、追い討ちをかけるように真っ暗な鍾乳洞の中で孤独に思い悩む描写はとても恐怖を掻き立てられました。
面白かったです!(≧∇≦)

有名な金田一耕助シリーズ、なぜ今まで手に取らなかったのか。
理由は2つありまして、ひとつは単純に「難しそう」という先入観。
もうひとつは、昔TVで観たことある気がする…ということ。

ひとつめですが、全くもって難しいという事はなく、むしろスラスラ快適に読めたくらい。
登場人物が多いのでそこだけ気を付ければ、すごく頭に浮かびやすい表現で、あっという間に八つ墓村の異質な空間に引き込まれます。

ふたつめはですねぇ〜、朧げな記憶で、小さい頃からTVで繰り返し流れているものを惰性で観てしまっていた可能性があり、これ知ってる〜ってなっちゃうと残念だなぁと警戒しておりました。

有名な作品が多いので、どれかはその可能性があるかもしれませんが、やはり原作が1番!!と思っている派のワタクシとしては、正直めっちゃイカしてるイラスト、杉本一文さんの装丁復刻版で集めたいのであります。

結局心配など無用で、全くもって記憶になく、楽しく読むことが出来ました∩(´∀`)∩♪

鳥取と岡山の県境にある八つ墓村。
田治見要蔵が発狂し、32人の村民を虐殺して、行方不明になったと言われている。
20年後、寺田辰弥の元に弁護士が現れ、自分は田治見家の相続人だと聞かされる。
そして八つ墓村へ向かう事になるのだが…。

殺人事件がなければ、冒険モノのような感覚で楽しめる場面が多々あります。
光苔が不気味な鍾乳洞のシーンが多いのですが、中は幾つもに枝分かれを繰り返し、迷路のように複雑です。
昔、村民が落人を襲って奪った宝物が隠されているという言い伝えもあります。
1938年に実際に起きた津山事件という30人大量殺害事件が元になっているようです。

村という閉鎖されている空間での出来事ですが、その歴史が長いだけにスケールが大きく感じました。

金田一耕助は…
私が想像していたより、出番が少なかったように思います。
出ずっぱりな感じではないのですね。
それがまたいいかも。
頭洗ってほしいなぁ。
そういえば豊川悦司が金田一耕助の役作りで、ずっとお風呂に入らなかったとTVで言っていたような…と思い出しました(^^;;

映画も観てみたい。
鍾乳洞の中のシーンを映像で見てみたいなぁ。

そして次は『犬神家の一族』を読みたいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: #2022上半期の本ベスト約10冊
感想投稿日 : 2022年4月28日
読了日 : 2022年4月28日
本棚登録日 : 2022年4月28日

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コメント 2件

ひまわりめろんさんのコメント
2022/04/28

kaniさん
こんにちは!

そうなんですよ!
横溝正史読みやすいんですよ!
たぶん名前が良くないんですよね
名前からして読みづらいですもん
別の名前にすれば良かったのに(本名、本名!)

横溝正史ファンがまた増えそうでなんか嬉しいです
名作揃ってますので引き続きご贔屓に
レビュー楽しみにしてます!

Kaniさんのコメント
2022/04/28

ひまわりめろんさん、こんにちは^ ^
コメントありがとうございます♪

とても読みやすかったので、他の作品もさらさら〜と読めてしまいそう(*´ `)

他、現在手元に、
◯ 獄門島
◯ びっくり箱殺人事件
◯ 本陣殺人事件
◯ 華やかな野獣
◯ 迷路の花嫁
の5冊があります。

でも『犬神家の一族』が読みたくて、そのうち本屋さんで見つかるといいなぁと思っています。

横溝正史お好きなんですね!
昭和ミステリーの醍醐味がぎっしり詰まっていそうで、読むのとても楽しみです(●´ω`●)

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