渦森今日子は宇宙に期待しない。 (新潮文庫nex)

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  • 新潮社 (2016年2月27日発売)
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彼女たちは地球人だけど女子高生だから理屈が欠損していて、そうしてそれがかわいらしさになるギリギリの年齢だった。ああ、このまま大人になるとかわいいどころか痛々しいばばあになるだなんて、こうあうのって現代社会の闇よね。どうしてそんなにかわいさの定義が主語によって変わっていくの。罠っぽい。

今の自分にできること、叶えられるレベルの夢だけ見て、そうして目標をどんどん小さくしていく。身分相応なんて言葉で言ってしまえば利口に思えるけど、結局、夢を見ていないのは柚子ちゃんのほうだ。東京に出てどうするの。なんでもあるけど、でも、夢は売ってない。できる範囲で、可能なレベルで、努力が必要にならないように夢を見るのは一番、不自由に見えた。もし最高の能力があったら何になりたい?私は、柚子ちゃんがなりたいものはなんなのか、ただ友達だから知りたい。原宿に住んでなにしたい?どういう大人になりたい?ワクワクしながら話したかった。そうしたほうが楽しいって、絶対そう思うから。

夢は簡単に私たちを裏切って、たぶん、ほとんど叶わずに終わる。なんとなく、それはわかる。でも、それって結構どうだっていいことなんだね。決めちゃったらわかる、叶えるより、なにより、諦めないでいたいと思う。

私は、私であること、諦めないでいたい。

最後の夏だもんね。なにもかも、がんばりたいね。やりたいこと、諦めなくないこと、好きなもの。たとえ失敗したって、くじけたって、彼らは私にとって特別。それはきっと、変わらない。今がそれを保証してくれる。

2018.10.16

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感想投稿日 : 2018年10月8日
本棚登録日 : 2018年10月8日

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