幸福な食卓 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2007年6月15日発売)
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本棚登録 : 12738
感想 : 1306
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バラバラな方向を向いているかなりマイペースな家族。でも心はちゃんと繋がっている。日々の食事で繋がっている。
一読後、身の回りには大切なものがあるって気づかせてくれる作品だと思います。それは何気ない日常であったり、家族であり友人であったりもします。
佐知子の父母や兄のマイペースな生き方から、逆に平凡な日常って当たり前じゃないんだ。幸福なんだって感じました。特に後半の急展開からは益々その思いを強くしました。
また、瀬尾さんは思春期の中高生の心理を描き出すのが抜群にうまい。それは瀬尾さんが教師として子どもとの真剣勝負の中から体得したものなのだろうと思います。リアルに自分の学生時代の空気感がよみがえってきます。特に年頃の女子の難しさは、我が娘を思い浮かべつつ胃がキリキリとしてしまうほど。あの女子の冷たい視線、冷めた空気、どよーんてくるなぁ。
私は佐知子ほど思春期の友人とのゴタゴタや恋愛に頭を突っ込んでいません。部活の方に全力を注いでいたからです。部活での友人との切磋琢磨、強くなるために試行錯誤した日々。なので休み時間や授業ですら基本、休憩に近いものがあり、なんとも仕様のない自分を思い出しました。また、友だちとのなにげない会話が楽しかったり元気をもらってきた。そんなことを思い出しました。
人には十人十色の青春がある。そのどれもが貴重なものだと思う。佐知子の明日は今日よりもっと素晴らしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年12月3日
読了日 : 2022年12月3日
本棚登録日 : 2022年12月2日

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