同性愛者の夫と、アルコール依存症の妻の話。
妻の笑子は気づけば酒を飲んでいる。情緒の不安定さを忘れるためだろうか。夫の睦月はいつも優しい。この夫婦はなんとも不思議なバランスで成り立っている。それゆえ、銀のライオンのように、はかなさと表裏一体。
そんな夫婦とそれを取り巻く人々で物語が展開していく。静かで不思議な空間にいるようであった。
この小説の1990年代は、いまほどLGPTQなどの理解が進んでいなかったからきっと新しく写ったと思う。また、村田沙耶香「コンビニ人間」では、自閉症スペクトラムを思わせる主人公が出てくる。発達障害が世で話題になる前の話だ。これも今となっては特に奇異な話ではない。
これだけ早い時期に、こうした人々を中心において物語にできたことがすごいと思った。
これからもっと世の中は多様になっていくだろうなと思った。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年1月15日
- 読了日 : 2023年4月25日
- 本棚登録日 : 2023年1月12日
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