6つの短編集。パティシエの秘書、仏像の修復士、文学青年、UNCHRの職員、サラリーマン、犬保護のボランティアが登場する。どれも面白い。いろんな世界を縦横無尽に描いてしまえることに驚いた。
そうか、森絵都さんは児童書も手掛けていたのか。だから、文章が非常に読みやすく、映像として内容が浮かんでくるのだ。
中でも傑作は「守護神」に登場する文学青年裕介とニシナミユキとのやり取りだ。チャラそうな裕介の見方が180度変わる思わぬ展開が待っている。それがおかしく思いっきり吹いてしまった。久々にこんな面白い短編をみた。一方で大学で文学を学ぶってこういうことなんだ、これはすごいなと脱帽する思いだった。徒然草や伊勢物語の解釈バトルがすごい。読書を極めるとこんなに会話になるのかも知れない。
「鐘の音」は井上靖の歴史小説を読んでいるようであった。言葉遣いも漢文調で深い味わいがある。仏像を通して歴史に思いを馳せるような雄大さがあった。「ジェネレーションX」の友情物語は心に涼風が吹いた。やはり昔からの付き合いっていいなと改めて思う。仲間と久々に集まりたくなった。
どの短編も外れなし、よいひとときをくれた作品であった。紹介してくださったユッデイさん、ありがとうごいざいました!
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年2月26日
- 読了日 : 2024年2月26日
- 本棚登録日 : 2024年2月18日
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