流浪の月

著者 :
  • 東京創元社 (2019年8月29日発売)
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感想 : 2836
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すごく面白かったです。リアリティーある人物の描き方に衝撃が止まりませんでした。ページをめくる手が止まりませんでした。
少女誘拐の罪に問われた文(ふみ)と誘拐された更紗(さらさ)は互いにひかれあいます。恋人とも、家族とも、友だちともつかない不思議な関係。
また不倫であったりDVであったり、育児放棄であったりと、「努力しても何ともならない部分が壊れている」人々が登場し、人間の性(さが)がこれでもかと描かれます。みんなどこか、何かが足りない。
そういう私にも自分ではどうしようもない部分があります。心の弱さだってあります。けして完璧なんかじゃない。だから、更紗をはじめ、登場人物を嫌悪するだけでなく、共感もしてしまうのです。それくらい人間の掘り下げ方が上手くてわかりやすいし、それら人間が巻き起こすダイナミズムが心を捉えて離さないのだと思いました。
時に落ち込んだり、悩んだりと自分だけじゃないんだな、誰もが何かしらを背負って今日も生きているんだよなと、私も一人じゃないんだと思えました。それくらいたくさんの心理描写がでてくるので付箋だらけになってしまいました。
もちろんこの本、ブクログをやってなかったら間違いなく手にとっていないと断言できます。フォロワーの皆さんのレビューから手にとることができました。当たり前のことですが、本書にあるように人は誰かを支え支えられて生きているということを実感してしまうのです。
きっとこの読書体験は忘れられないものになると思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月3日
読了日 : 2024年1月3日
本棚登録日 : 2024年1月1日

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