著者 :
  • 小学館 (2001年8月30日発売)
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妻ある男性の子どもの妊娠・出産と、師として、父親として、そして恋人としての関係を15年間続けてきた劇作家の東由多加の闘病生活の介護の日々を、2つの命の交錯として描き、センセーションを呼び起こした『命』、『魂』に続く「命三部作」完結編である。
国立がんセンター中央病院を出て、昭和大学付属豊洲病院へ転院する東。3人の女性たちの手厚い介護の中、わずかな可能性にかけた抗ガン剤治療は死を前提とした延命治療へとシフトしていく。生後2か月の丈陽を友人の町田康夫妻に託し、東の個室に寝泊まりし、介護の合間に原稿を書き、治療費の工面をする「わたし」。ここで語られるのは日常の中の戦争だ。「わたし」の肉体と精神は極限まで追いつめられ、さらに追い討ちをかけるように強姦未遂事件に巻き込まれる。一時帰宅の後、再び入院する東に残された時間はわずか。周囲の祈りも空しく、ついに彼はこの世を去る。


読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 作家「ら」行
感想投稿日 : 2007年12月20日
本棚登録日 : 2007年12月20日

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