現代語訳 学問のすすめ (ちくま新書)

  • 筑摩書房 (2009年2月9日発売)
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「正しい物事を正しいと判断することと、その正しいことを実行することとは、まったく別のことなのだ」

「人間が計画を立てるときは、常に大きくなりがちである」

「学問というのは、この(信じる、疑うという取捨選択のための)判断力を確立するためにある」

印象に残った文を3つだけ抜粋。
特に最後の判断力の部分に大いに共感した。
フェイクニュースを含めたあらゆる情報に溢れる現代社会においてはこの「正しいもの、必要なものを見定める力」が必須になっている。
私も学生時代勉強をしたことの意味を振り返った時に、財産となったのはこの判断力かもしれないと思っていた。
あの福沢諭吉と同じ考え方だったことに深く感動し、自分の続けた勉強が報われたような気がした。


現代を生きる我々でも当たり前に受け入れることが容易な、そして受け入れるべき考え方が理路整然と並んでいる。
福沢諭吉にとって学問とは"行動に移して初めて意味をなす、実用的な知識や判断力"のことを指しているのでは無いかと思った。
(自分自身を含めて)本を読むだけで成長した、賢くなったと勘違いしている人は多いのでは無いだろうか。
そんな浅はかな考え方の人々を福沢諭吉先生は気持ちよくぶった切ってくれます。

これを戦前よりも遥か昔に書かれたと思うと、福澤諭吉の先を見据える大局観に感心させられる。
明治維新、文明開化というものは、彼のような国を良くしたいという純粋な熱意に溢れる人たちが先導したからこそ為し得た大偉業だったのだと強く実感する。
 

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感想投稿日 : 2020年8月3日
読了日 : 2020年8月2日
本棚登録日 : 2020年8月2日

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