加賀恭一郎シリーズの10作品目。
今回はある殺人事件が起こり、失踪し亡くなる迄の加賀の母親と親しい人物がその事件と脈絡してくるという物語。
事件の捜査が進むにつれ、博美親子の切なくて悲しい過去と現在も露になってくる。
それと同時に加賀の母親が何故失踪したのか?
「赤い指」で亡くなった父親との真相の因果関係等が明らかになっていく。
「祈りの幕が下りる時」
タイトルが秀逸すぎる。その時何が起きるのか?その時とは何なのか?その幕とは何を意味しているのか?
博美の手掛けた明治座での舞台「曾根崎心中」、博美の複雑で暗い過去、父娘の約束と決意、そして2つの殺人事件の幕が同時に下りる。
なんとも言い表せない感情が込み上げてくる。一言で表すなら「尊い」
そして加賀にとってはこの事件がなければ両親に対しての「祈りの幕が下りる時」はなかったのではないだろうか?
しっかりと整理されてこの先加賀が歩んで行くのだろうと推測できた。
捜査一課への配属転換がその証で、きっと登紀子と家庭を持つ事にもなるだろうと。
そういう意味で加賀にとってはこの幕が下りた時とは、刑事としても家族としての価値観も大きく前進するに違いない。
次作「希望の糸」新な加賀がそこにいるような気がしている。楽しみ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年2月1日
- 読了日 : 2024年2月1日
- 本棚登録日 : 2024年1月23日
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