最近文庫化され買ったのに積んでいた事を思い出しやっと手を伸ばした。伊坂さんの長編の作品が好きでだいぶ後回しにしすぎてしまった。
今回の作品は5篇からなる短編集で、全てが小学生がメインの物語。
ちょっとませた様な、大人びた考え方や言葉使いをする小学生達に自分には映るが、それも子供達の中で大人へと成長している部分部分を露にしているからなのだろうか?
幼さの残る子供心を描く事も上手だなと思いながら読んだ。
最後の2篇には繋がりを感じ、しっかりと短編物語を伊坂さんらしいゴールに集束させている。
最後の家電量販店の店員の涙はグッとくるものがあった。きっとあの人だろうと想像がつく。時は流れながらも「やり直せる」という教訓が一巡りしながら人から人へと伝わっている。終着点が素晴らしすぎる。
物語はどの篇も子供目線の物語なのだが、読者である大人の方が子供達との向き合い方に関して考えさせられる作品だった。
子供が大人になる過程に関わる人の影響が多く読み取れ、子供達にどう道徳的な意識付けをしていくべきなのか?それが根本にある作品だと感じた。
考えさせられる。作中でもあったが正解はきっと無い。かといって不正解はある気がする。だからなるべく不正解にならないようにするべきか?とも考えさせられた。
時がたてば子供の頃の出来事は思い出に近い「記憶」になる。いくつかは道徳的な意味合いも含まれてくるかもしれない。
大人目線の主観になってしまう事が多いだろうが、その中でもしっかりとした言葉と態度と思いやりを持ちながら接していくことが大切だなと思わされた。
その姿勢が子供から見ての大人の為すべき姿であろう。
- 感想投稿日 : 2024年3月15日
- 読了日 : 2024年3月15日
- 本棚登録日 : 2024年3月6日
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