柚木裕子さんの警察物の作品。
「盤上の向日葵」「孤狼の血」シリーズが最高によかったのでこちらの作品も購読。
ストーカー殺人事件から、新聞社へのリークからのマスコミ報道、そこに主人公泉の友人千佳の存在、そして千佳の死。
その死の疑惑から泉は真相を得る為に独自に調査に乗り出す。
この辺りまでの序盤の展開はとても面白かった。
そしてこの先の展開にも胸を踊らせていた。
そこから更に発展して新興宗教団体の関係、そこへの公安組織からの内偵、その内偵者の死、警察と公安という秘密主義というか保守的な組織関係図。
最終的に丸く収められるよう導かれた結末。
捜査には捜査の、公安には公安の、刑事には刑事の、被害者には被害者の、関係者には関係者の、それぞれの「正義」と「真実」が在るという事なのだろうか?
主を変えれば趣きも変わり、その両極には闇に似た「矛盾」だらけだったとしても、事件として書類上では公としての一件落着で「解決」という答えは出る。
そこを問題提起している話なのだろうか?
話の枠組が大きすぎて、複雑すぎて分かるようで分からない、自分に熟読は難しかった。
物語の展開についていくのがやっとというのが正直な感想。
物語にのめり込むというよりは、物語についていくだけでいっぱいで、終盤は自分の理解や考えや感じる事が及ばない作品だった。
自分のナレッジや教養の低さもそうなのだが、自分が公安警察というもの自体の様相を捕捉できていないため終盤はしっかりと読み込めなくなってしまった。
そういう意味では今作品は自分にはハードルの高い作品だったのだろうと感じている。読み込む為には公安警察という組織の知識が必要な作品で、知識を増やしてからまた再び読んでみないと分からない作品だろうと思っている。
- 感想投稿日 : 2023年12月12日
- 読了日 : 2023年12月12日
- 本棚登録日 : 2023年12月3日
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