波止場日記――労働と思索 (始まりの本)

  • みすず書房 (2014年9月11日発売)
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本棚登録 : 307
感想 : 23
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普通、日記というのは公表したくないものかなと思う。だいたい世に出されても、著者の死後というイメージがある。ホッファーがどうして刊行する気になったのかは分からないけど、自分の意思で世に出せば、"編集"も可能(といっても、編集しているのかも分からないけど)。
やっぱり他の著作と違って、日記だから時々の心情が吐露されていて興味深い。"理想的な仕事"としていた沖仲仕については、「楽な」とか「楽しい」とか書かれている日が多い感じ。端から見たら大変な仕事だと思うけど、それをこなしながら思索も出来ることをホッファーは証明している(とはいいつつ「頭が回転していない」と漏らす日もある)。仕事がつらいなんて、言い訳にすぎないな…。
おや、と感じたのは、当時の情勢があるんだろうけど、ロシアに対してかなり手厳しい批判(過激ともいえる)をしている。そして、大衆(とくにアメリカの)へは絶大な信頼をよせている印象を受けた。その辺りを読んだ時、偏向はその物事のもう一方の状態から目を逸らさせることになりはしないか?と。大衆については、自分も興味があるので同著者の『大衆運動』も読んでみたいが、ル・ボンの『群衆心理』も読んでみたい。この二冊は大衆(群衆)の捉え方が違うと思うので、比べてみると面白いと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: この人に注目
感想投稿日 : 2023年10月4日
読了日 : 2023年10月4日
本棚登録日 : 2023年9月23日

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