やがて哀しき外国語

著者 :
  • 講談社 (1994年2月18日発売)
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感想 : 69
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大雨とウイルスの蔓延で外に出られない夏の午後、巷で再評価されている80年代シティポップをBGMにして1994年に上梓されたエッセイを貪り読む。

1990年前後の世界像とか村上春樹個人の想いとか、空気感とか、いま読むからこそ感慨深く感じるものがある。村上龍との差異とか、COACHの位置とか。「ヒエラルキーの風景」で語られていた〈共通一次男〉はあれから30年経ってもまだ日本に巣食っているし。

最後の「さらばプリンストン」は珍しく文学研究の匂いを醸し出していて面白かった。しかし一方で、いま誰が「第三の新人」を読んでいるだろうか、と寂しさにも似た冷笑を浮かべたくもなる。山下達郎や大貫妙子のリバイバルみたいに、吉行淳之介や小島信夫が再注目される日は来るのだろうか。アルトマンの『short cuts』は観ようかしらん、と思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年8月15日
読了日 : 2021年8月15日
本棚登録日 : 2021年8月15日

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