夫のちんぽが入らない(扶桑社単行本版)

著者 :
  • 扶桑社 (2017年1月18日発売)
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本棚登録 : 2596
感想 : 344
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ひりひりする。
タイトルに嘲笑い、発売当時に仲の良い先輩と「ノリで」買ったことを覚えている。

最近、家に本を置く場所がなくなってきて、整理していたときに久しぶりに手に取った。
「もうこんなふざけたタイトルは手放そう」と思い、最後にどんなんだっけと読み返したのがだめだった。

ああ、ひりひりする。
この作者の生きてきた人生。分からないようで分かる、異常なようで、誰にでもありうる普遍的な生きづらさ。「普通」という呪いにとらわれて苦しむつらさ。
「どうしても入らない」という精神性。家族との関係。
そして、最後の手書きの迫力。

誰の人生もみな、「名作」になるのかもしれない。ひっそりと耐えて生きてきたこの人のように。

読み終えた後にはやっぱり、まだ家に置いておこうと思わされた。


(そして再読すると、あの時は知らなかった乗代雄介さんの名前があとがきに載っていて驚いた。いまや芥川賞ノミネート作家…!)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 扶桑社
感想投稿日 : 2021年12月25日
読了日 : 2021年12月25日
本棚登録日 : 2021年12月25日

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