普通の時代小説を読んでる時には決して動かない脳の回路が活発になる面白本で、この分野に縁遠い人もきっと愉しめる。藩札をテーマにしたバブル批判の書で、全サラリーマン必読だと評してる人もいるみたいだが、常に死と寄り添った侍と現代の企業人を同列に考えるのは野暮というもの。ただ、無理をする覚悟が据わらぬ者の背中を突き飛ばす一冊であることは確か。無理を無理でなくす存在としての鬼であり女を、とりわけ男の潔さなぞ足下にも及ばぬ女の潔さを十分に描ききっていれば傑作になったであろうに、最後の主人公の叫びは読者の嘆息でもある。
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- 感想投稿日 : 2015年5月29日
- 読了日 : 2014年12月31日
- 本棚登録日 : 2015年5月29日
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