藤岡陽子さん3冊目。題材や主人公は異なるが、藤岡さんの書く作品はどれもとても濃厚だ。
京都の伝統ある商家を実家に持つ男性が婚約者の主人公美咲(32)。一見玉の輿だが、東京出身の美咲からは理解不能で慣れない風習ばかり、且つメガバンクの仕事を辞め家業を継いだばかりの婚約者も環境の変化への戸惑いや忙しさから人が変わり、2人の関係はギクシャクし…。美大出の美咲はものづくりに精を出すようになり、成長してゆく。藤岡さん書く小説は、ストーリー自体は美しく、上手く行きすぎと思う部分もなくはないが、どれも綺麗事だけではない、世の中の厳しさも含まれている気がする。それが厚みのあるストーリーを生み出しているのだろうな。この間読んだ『リラの花咲くけものみち』の主人公聡里と美咲が、残雪は佳太が何となく重なった。
京都のこと、刺繍や陶芸といったものづくりのことに触れられたのも面白かった。美咲の作る刺繍Tシャツの現物イメージを是非見たいと思った。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年11月12日
- 読了日 : 2023年11月12日
- 本棚登録日 : 2023年11月12日
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