タイトル・帯文・裏表紙の紹介文を読む限り日本で生きづらさを感じた人々が海外移住に踏み切ったことで自分本来の生き方を取り戻し明るい未来に向けて再スタートを切ったものを期待させますが、本書を読み進むとそうした甘い期待が見事に打ち砕かれます。
外こもり、ゲストハウス運営、自殺願望、海外移住、結婚、ホームレス。
タイを中心としてカンボジア、ベトナム、香港などのアジア諸地域で、それぞれの動機で日本を離れた人々の経緯が8章に分けてそれぞれ紹介されます。移住者の多くは20~40台の男性で、その多くはどちらかといえば逃避ともいえるネガティブな理由から海外での生活に至っています。
筆者の彼らへの眼差しからはどこかよそよそしく冷淡なものを感じ、ここでは紹介しませんが、それぞれの結末と今後に予想される行く末には虚ろで寒々しい印象を与えられました。
本書のつくりとしては謳い文句と内容が矛盾する、冒頭の通り明らかに読者の本来の期待を裏切るものではあります。しかしここに挙げられたような海外生活の先にあるものを詳らかにした体験談に多く触れることができ、結果として読む前にあった想定を上回る読書体験になりました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年7月22日
- 読了日 : 2020年7月22日
- 本棚登録日 : 2020年7月22日
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