辻村先生の傑作に出会えた。「噛みあわない会話と、ある過去について」で受けた衝撃を上回る読み応えを得た。衝撃は大げさだ。姉と妹、姉と弟、母と娘、父と息子、祖父と孫…いずれも家族関係をテーマにした七篇の小編はどれもが自分の身の回りに十分起こりえるあるいは垣間見えるごく普遍的なトピックが題材とされており、それゆえ非常にリアルである。特に六編目の「孫と誕生会」は、これが小学生の女の子たちが作り上げる人間関係か!と身震いすらしたが、おそらく自分が小学生時代にもあったごくありふれた場面なのだろうと思う。
いずれの家族関係もギクシャクとし、不器用である。しかしそれらは家族だからこその関係なのか、お互いを思う気持ちは必ずあり、それが形になったときえも言われぬ安心と感動を覚える。言いたいことがとてもストレートに伝わってくる、非常に爽快感あふれる作品である。
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- 感想投稿日 : 2022年8月1日
- 読了日 : 2022年7月31日
- 本棚登録日 : 2022年7月31日
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