ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2015年6月25日発売)
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ジヴェルニーの食卓 原田マハさん

【読みおえて】
著書の魅力は、やはりキュレーターである原田マハさんが描いた世界であること。
そして、巻末のとおり、参考文献を巧みに引用しながら、当時の世界を描いていること。
そう、まるで、今、ここの世界で起こっでいるような臨場感が読み手に降りてくる。

偉大な画家たちは、結果として、いま、偉大である。
しかし、当時の画家たちは、ただ、絵画を通じて、純粋に世相に訴えたかっただけである。
描きつづけることの苦難との戦いが見えてくる。切実である。

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「ジヴェルニーの食卓」
モネ。
モネが愛したアトリエの庭。
モネが弟子をひとりもとらず、そのモネを支えた義理の娘の回想録である。
晩年、両目の手術を行う。
それでも、なお、モネがアトリエに向かいつづけた。
モネは、アトリエの庭に何をみていたのか?

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「タンギー爺さん」
セザンヌ。
セザンヌが貧してした時代。
画材の提供をしていた画廊があった。
その画廊の娘の回想録である。
画廊は、セザンヌをはじめ若い新進気鋭の画家を積極的に支援をしていた。
画材の無償提供である。
代わりに、いつ売れるかわからない絵画と交換する。
娘が、画廊オーナーの父が、なぜ、それほどまでにセザンヌを推していたのか?回想する。
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「美しい墓」
アンリ・マティス。
マティスの側で給仕していた女性の回想録である。
恍惚の一日。
それは、マティスの晩年に、親友のピカソが昼食に訪れた日のことである。
マティスが、ピカソの見送りときに、渡したものとは?
マティスの弔問にピカソが訪れなかった理由とは?
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「エトワール」
ドガの物語である。
『14才の小さな踊り子』。
生前には評価されなかった作品。
この作品の制作現場に立ちあったアメリカ/女性画家の回想録である。
ドガは、この作品で世界に何を説いたかったのか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年8月7日
読了日 : 2022年5月28日
本棚登録日 : 2021年8月1日

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